経験則から考えてみる
成長に欠かせない経験則
世の中には、昔からの伝統ある職業が数多くありますが、IT職のように戦後新たに生まれた職業もあります。職業としての歴史が浅くて進歩がとても早いIT業界で、若手SEの育成方法にはこれといった決まりはなく、今ベテランとして活躍するエンジニアの多くは、現場で試行錯誤を繰り返しながら必死で道を切り開いてきた経験則で後輩を育成してきたのではないでしょうか。そのため、若手の頃に1から丁寧に仕事を教えてもらってきた経験をしているエンジニアも少なく、それぞれが先輩の背中を見ながら自分なりに考えて成長してきたという人がほとんどかもしれません。実際、歴史の浅い仕事なので過去から学ぶための材料も少ないのは当然のことで、開発環境が変化していくのは、これまでにエンジニアとして活躍してきた人達の努力の成果でもあります。
苦難を乗り越えるという経験
誰だってできることなら苦難は避けたいと思うものですが、苦難があるから学べることもたくさんあります。SEの仕事をしていれば、思わず逃げ出したくなるような事態に追い込まれることもあります。システム障害などのトラブルの原因が自分の作業にあった場合などは、まさにそのような状況かもしれません。そこで冷静に問題解決に集中して取り組めればいいのですが、話が大きくなってクライアントや仕事仲間を巻き込んでしまうようになると、様々な思いが頭をよぎり、恐怖感に打ちひしがれてしまいそうになるのは無理のないことです。そのような場面に遭遇すると、つい自分の視野が狭くなり、失敗ばかり目についてしまいがちですが、ここで逃げ出すことなく問題解決までしっかりとこなしていくという経験をすることで、SEとして大きく1歩前進することができるのです。
多くのベテランエンジニアはそのような経験をしていますが、もし最初の失敗で逃げることを覚えてしまうと次の難関が現れた時にも立ち向かうことができず、また逃げるという選択をしてしまう可能性が高く、それ以上SEとして成長することは難しくなってしまいます。
失敗に弱いエンジニアを育成
失敗をどう捉えるかは、その人の性格にも大きく左右されます。常にポジティブで失敗をバネにできる若手は、ベテランがしっかりと見守りつつもチャレンジさせた方が成長できるかもしれませんが、失敗に懲りて臆病になってしまうような性格の人には、ただチャレンジさせるだけでなく、さりげないサポートが必要です。それは、問題が発生したら全部引き受けてあげるということを意味するのではなく、原則としては若手に仕事を任せつつも、結果として成功だったと思える状況になるよう、経験則を活かして具体的な助言や手助けをして自信をつけさせるということです。ベテランにしてみれば、自分の頃はそこまでサポートしてもらえなかったという思いがあるかもしれませんが、今の時代の若手育成を成功させるための知恵として割り切ることも大切です。
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